昔の日本では、森・里・川・海がなだらかにつながり、
多くの生き物は、季節や成長段階にあわせて自由に行き来することができました。
ところが、都市化や河川改修、農地の集約などにより、大きな自然のかたまり同士が分断され、
その間をつなぐ「飛び石」が少しずつ失われてきました。
川は、源流から海まで一つながりの“生きたシステム”です。
魚は上流・中流・下流を行き来し、カエルやトンボは、水辺と周辺の草地・林を使い分け、
鳥は、川沿いの樹木や田んぼを休憩場所にしながら移動します。
つまり流域とは、水だけでなく、「生き物の動き」も含めた大きなひとつのフィールドと言えます。
このフィールドの中で、ダムや堤防、護岸、道路、宅地造成が増えるほど、
生き物たちが安全に移動できるルートは限られていきます。
そのとき鍵になるのが、連続した大規模な自然だけではなく、点々と存在する「飛び石」の質と数です。
では、どんな場所が「飛び石」になるのか
・本流から切り離されたワンドや旧河道
・農地の中の小さな水路やため池
・護岸のすき間に残された砂州やヨシ原のポケット
・工場や学校の敷地内にあるビオトープ
・住宅地のなかの細長い緑地、街路樹、神社の社叢
こうした場所は生き物にとっては、移動の途中で立ち寄る「休憩所」であり、
洪水や干ばつ、開発などで一時的にすみかを失ったときの「一時避難所」でもあります。
飛び石が一定の間隔でつながっていると、遺伝的な交流が保たれ、個体群が弱りにくくなりると言われています。
逆に、飛び石同士の距離が離れすぎると、そこから先には進めない“行き止まりの流域”になってしまいます。
私たちの暮らしの中で出来るネイチャーポジティブ活動って、意外と身近かもしれませんね。
私たちコミュニケーションデザイン機構も、流域をフィールドにした学びや対話の場づくりを通じて、
地域のみなさんと一緒に「飛び石」を少しずつ増やしていくお手伝いができればと考えています。